あたたかい胸のなか、安心する、心地いい体温に瞼が下がっていく。


律くんには助けられてばかりだなあ....。


初めて会った日も、屋上で転びそうになったところを助けてもらって、それから、今日までなんかいも、ずっと。


ぱたり、意識を失うほんの一瞬前、頭に浮かんできたのは─────



『未桜』


目尻を下げてきゅっと皺をつくって、すこしだけ口角をあげて。


やさしく笑う、きみの姿。









「えっ、みーちゃんどうしたの....!?」


「意識ないんじゃない?っ、救急車──「.....寝てる」



え、とこの場の全員の言葉が重なった。


「ね、てる....って、ほんとに?」


「....ん。スースー寝息たててる。微熱っぽいけど、これなら大丈夫だろ」


「マジびっくりした....って、みおちゃん体調は万全だよ、って言ってなかった?」


「....風邪引いてんじゃねーかよ」


「ずっと我慢してた、とか。....ま、未桜ちゃんってそういう子か」


「はあ~~もっとワガママになっていいのに。....ね、律」





「....ばか未桜の説教は、''あのひと''との約束を果たしてから。....じっくりな」