「あーハイハイごちそうさま。青春?あれ、いまの時代アオハルっていうの?満喫しろよー高校生」


「ねーちゃん彼氏に振られたばっかだもんな~~ハハ、ドンマイ」


「....そんなに手錠かけてほしいの、アンタ。....ってゆーか、なんでそれ知ってるの」


「おれ、縛られるより縛りたい派だから」


「....だれも聞いてないわ」


にこ~っと、ヒクヒクと口の端を震わせる志穂さんと満面の笑みの駿くんを見ていたら。



「(っ、あれ.....)」


だんだんと身体の力が抜けていくような感覚。


視界がふわふわしてきて、瞼が重く感じる、下がってくる。


「.....未桜?」


「り、つく....なんか、ね....」


律くんに後ろから顔を覗き込まれて、手が伸びてくる。


そっと手のひらを私の額にあてた律くんは、小さく目を見開く。


「おまえ....、」



────あ、と気づいたときには遅かった


ふらり、完全に力が抜けて、視界が反転する。


そのまま倒れそうになったところを、後ろから伸びてきた腕に抱きとめられて、支えるみたいにぎゅうっと力を込められる。