こてんと首を傾げる志穂さんに、ぽかんと口が開く。


私が駿くんと....って、なんでっ！？


「はは、この際だし奪っちゃう？｣


「....駿ワルノリしない。隣見てみろ｣


ゆるりと口角をあげて、にこりとキメ顔の駿くんに由良くんがため息をひとつ。


「....律くん、怒んなって｣


冷気を纏った律くんに、駿くんがにへら～っと笑いながらばしばしと背中を叩く。


....律くんの皺、どんどん深くなってることに駿くん気づいてる ....？



あわあわとふたりを交互に見つめていると、ぎゅ、と弱い力で髪を引っ張られた。


おろしている髪の上から、つー、となぞるように指が伝って、突然のことに固まる私。


すると、後ろからぎゅっと首に両手を回して、私の頭に顎を乗せた律くん。



「.....俺の、なんで｣


「っ、ぅ....｣



バックハグ、にかいめ....。


ぶわあっと頬が急速に熱をもって、だんだんと全身に熱がのぼってくる。


律くんの敬語....、なんてそんな細かいところにキュンとくるなんて、自分でも恥ずかしい。


風邪を移さないように、とつけているマスクがなかったら、こんなマヌケ面をみんなに晒すところだった....！