ふわりと向けられた笑みに同じものを返せば、なぜか志穂さんは頭を下げて、ごめんなさい、と呟く。
「志穂さんっ?なんで、頭下げて....」
「───私たち警察が、あのとき香山を逮捕していれば、今日蒼唯さんをこんな危険な目に遭わせることもなかった。
....''あなたたち''をずっと苦しめることも、なかったのに」
志穂さんは知っているのだろうか。
8年前のこと、お父さんが香山のことを調べていたこと。
....私が香山から自白を取るために、今日のことを提案したことも。
だけど、志穂さんには直接関係ないことだ。
「私ひとりの謝罪じゃあどうにもならないけど。
───ほんとうに、ごめんなさい」
警察を代表して、という意味合いの謝罪。
真っ直ぐと前を見据える志穂さんのことを、かっこいい、と思った。
「....私、志穂さんにはすごく感謝、してます。
───終わらせてくれたのが、志穂さんでよかったです」
精一杯の笑顔を向けて、ぺこりと頭を下げる。
ありがとうございます、が伝わるように。



