「誘拐未遂の現行犯、で....ソッチは薬物所持。通報するにはジューブンでしょ?」
「....はあ。ほんと生意気なヤツ」
呆れたようなため息をこぼした松岡さんは、部下と思われる男のひとたちに小声で指示を出す。
すると香山に中村さん、あとはこの前私と冬哉くんで遭遇した柳瀬さんを含めた羅灰のメンバーの手に、ガシャン....、とはめられる手錠。
....ホンモノだ。
「っく、そ....っ。離せっ、だからオレは....っ」
「あとは署で聞くから。....ね?」
抵抗する中村さんの腕をチラリと見た松岡さん。
最後の''ね''に込められた威圧感といったら....、さすが現役の警視、で。
....先ほどのブラックな駿くんを思い出して、やっぱり姉弟だなあ、なんて思ってしまった。
ずっと下を向いたままの香山の表情は見えないけど、銀髪の隙間から覗く''黒い竜''だけは、はっきりと視界に映る。
初めて見たときよりも、ずっとちいさく見えた、ような気がした。
「....蒼唯未桜さん」
「っあ、松岡さん....?」
「ふふ、志穂でいいわよ。松岡、だとそこのばかと被るでしょ?」
「は、はい....。志穂さん」



