「おまえ、上着は?」
「....あ。たぶん、車に」
冬哉くんに言われて、自分が上着を着ていないことに気づく。
家をでるときに着ていた白いパーカーは、車で縛られたときに取られてしまったらしい。
....風邪気味の状態で外に放置されていたからか、体温が下がってしまった気がする。
「....コレ、着れば」
手のひらで冷えた部分をさすっていると、冬哉くんは自分が着ていた上着を差し出してくれる。
「え、でも....冬哉くんが寒くならない?」
「....はやく着ろ。また風邪引かれても困る」
ぎくり、とした。
ごめんなさいもう引いてます....とは言えないので、ありがたく受け取らせてもらう。
「....あったかい。ありがとう、冬哉くん」
黒いボアジャケット。
羽織らせてもらうと、冬哉くんがさっきまで着てたからか、その温もりが残っていて、ぬくぬく温かい。
「由良くんもありがとう....!」
振り返りぺこりと頭を下げてお礼を言えば、冬哉くんは微かに口元を緩めて、由良くんからはにこりとやさしい笑みが返ってきて。
「....さて、じゃあ────」
....そうして、ふたりはゆっくりと視線を後方に向けて。



