そして、未桜、とまた名前を呼ばれて。


「自分が弱いって認めることって、すげえ難しいんだよ」


たしかな温もりを纏って、告げられたセリフ。


律くんが言うことな、素直に受け止めることができるの。


すとん、と胸にまっすぐ落ちてくる。


「だから、それができてるおまえは、やっぱり強いよ」


「つよい、....私が?だって、私、思い出すのがこわくて、なにもできなくて....っ」


語尾が震えて、じわりと目に涙が浮かぶ。


いつもよりずっと涙腺が緩いなあ.....、これが電話でよかった....。


「だから、ずっと考えてたんだろ?....で、その結果、今俺に電話かけてる」


違う?、そう付け足す律くんが、電話の向こうでやさしく笑ってる気がした。



「ぜんぶお見通し、だ....」


「舐めんな。俺、おまえの彼氏な」


「ふふっ、そうだね」


こころから、このひとがすきだ、と思った。


ひとりじゃない、ってことを気づかせてくれるのは、いつも律くんだ。