「....離して!」
触られた箇所が、ぞわっと寒気が走る。
温度が下がっていく感覚に、ぎゅっと口を噛む。
「まぁまぁ~~。そんなこと言わないでさ」
「俺たちさあ、暇なの。相手してやるからさ、俺たちといこ?」
私が抵抗すればするほど、面白そうに笑いながら、手首の力を強めていく男のひと。
あぁもう、ほんとにさいあく....。
嫌悪感から、鳥肌がたってきて。
自分の運の悪さを恨んだ。
「────手、邪魔」
聞き覚えのある声が聞こえてきたかと思うと、私と男の間に割り込み、ものすごい眼力で睨みつける────
「桜雅、くん?」
ほぼ無意識に。
すがるように桜雅くんのブレザーを握った。
「後ろ、隠れてろ」
「っ、うん」
じわりと目を細めて薄笑いを浮かべる桜雅くん。
だんだんと心が安定して、鳥肌もおさまってきた。