:
【律 side】
「でねーな....、」
通話キャンセル、表示される文字をぼうっと見つめる。
────体調不良という担任の報告を受けて、今日で二日目
『律く....っ、ごめんね、わたし』
ふとしたとき、今にも壊れてしまいそうな表情の未桜を思い出してしまう。
うっすらと瞳に涙を浮かべて、カタカタ震えいた指先。
いつもは温い手のひらも、ひやりと冷たかった。
それはそうだ、と思う。
突然元ヤクザに狙われている───というだけでも恐怖でしかないのに、その理由に心当たりがないなら尚更だ
.....怖がらせたくない、不安になってほしくなくない。
言わないといけないと分かってたクセに、すべて未桜に黙っていたのは、そんなダセー俺のエゴ。
『守ってくれてありがとう』
ふんわりと、やさしさだけを掬ったような顔をして、未桜は笑っていた。
....二年前のあの日となにも変わらない未桜に、ほんの一瞬だけ泣きそうになったなんて、死んでも言えないしばれたくないが。



