無敵の総長は地味子ちゃんに甘すぎる




「(....とりあえず、部屋、もどらないと)」



重たい身体を持ち上げて、足音を立てないように部屋へと戻った。


部屋に入った瞬間、ずるずるとドアに倒れこむと、堰を切ったようにぼろぼろと溢れる涙。


ぽたり、と床にシミをつくって、弾けて消える。


「はぁ....っぅ、ぁ」


息が苦しい、身体が熱くて、くらくらする。



こころと身体が─────思い出すことを、拒否、している


それに気づいた瞬間、バクン、と嫌な風に心臓が震えた。


....私、なにをしているんだろう。



「う、ふぅ.....っ、」


泣いてばかりで、なにも出来ていない自分への嫌悪感と虚無感。


精一杯のやさしさで私のことを守ってくれる、大切な場所をくれた、受けていれてくれた彼らに、私は────



────ブー、ブー



聞こえたバイブ音と、真っ暗な部屋のなかでぽつんと灯ったあかり。


座り込んだまま、涙で濡れたままの手を伸ばした。


無機質なあかりにはんぶん目を瞑りながら、涙でぼやける視界を映す。



【calling 律】