パンケーキを食べ終えお店を出ると、夏っぽい湿った風が頬を掠める。


もう9月なのに、まだまだ暑いなあ.....。


ぱたぱたと手で煽いながら腕時計を確認すれば、時刻は6時10分。


今日はお父さんもお母さんも帰りが遅いから、夜ご飯を用意しないといけない。



「じゃあ、ばいば.....っわぁ!?」


冷蔵庫になに残ってたかなあ、なんて考えながら、帰ろうと背を向けると。


ぐいっ、と後ろから腕を引っ張られて、身体が傾く。


「え、冬哉くん....?」


「家まで送る、つったよな?」


なに勝手に帰ろうとしてんだよ、と冬哉くんは軽く舌打ちをひとつ。


....う、さっきまでパンケーキのおかげで冬哉くんご機嫌だったのに。



「....はい、おねがいします」


わざわざ学校にまで来てくれたくらいだ。


律くんのあの言葉といい、冬哉くんたちの行動といい、やっぱり''なにか''あるんんだろう。


律くんたちが私にそれを言わないのは、理由があってのことだと思う.....から。