「お待たせいたしました~~」



明るい店員さんの声に、冬哉くんの手が寸前で止まる。


そして、耳にかかっている髪を指先で軽く触れて。


「 ....絡まってた」



ほんのすこし頬を掠めた指先に、一瞬だけドキッとしてしまった。


至近距離で見るには、綺麗すぎるお顔.....!


気だるげな雰囲気と伏し目がちな瞳がまた、なんというか.....、すごく色っぽいから。



「っありがとう....ほ、ほら美味しそうだよパンケーキ....!はんぶん取り分ける、ね」



さっと目をそらして、ナイフとフォークを手に取った。


無心のまま、パンケーキを取り分けていると。


「あのさ、」


「ん?」


「律には黙っとけよ」



言い聞かせるような冬哉くんの言葉。


なにを、というかなんで律くん?と首を傾げる私に。


「おまえとパンケーキはんぶんずつとか、律に殺られそーだから」



殺られそう、なんて物騒な言葉とは裏腹に、つくられた笑みはどこか楽しそうで。



───私が見た、冬哉くんの2回目の笑顔だった