「欲しいんだけど、....はんぶん」



ななめに目をそらしながら、つっけんとした口調。


.....柔らかく届いたのは、私の気のせいかもしれないけど。



「そっか、よかったあ」


「おまえさ、俺にひびりすぎ」


ほっと笑みをこぼした私に、冬哉くんは呆れたように口角をあげる。



「よく分かったな。俺があのふたつで迷ってるって」


「うーん、なんとなく。表情で.....?」


「.....表情、」


びっくりしたような冬哉くんは、やっぱり自分のポーカーフェイスに自信があったらしい。


....確かに、いつもの冬哉くんは、感情の浮き沈みが分かりにくいけど。



「ふふっ。冬哉くんって、甘いものに関してはすっごく分かりやすいよ」


「....そんなの、言われたことねーけど」


「えっ、そうなの....?」


てっきり自覚があるのかと.....。


すると、伏し目がちの瞳と目があって、5秒ほど重なると。



「───おまえは、ソレに隠れてあんま見えねーな」



手が伸びてくる。


メガネに指がかけられて、そのまま外される───瞬間