いつもは余裕のポーカーフェイスなのに、と内心驚きながらも、注文を口にする。
「....えっと、私はいちごのショートパンケーキで」
そして、ぺこりと頭を下げて去っていった店員さんから、冬哉くんに視線を移すと。
ほんのすこしの変化だけど、瞳が細かく揺れている。
....予想はあたり、かな?
「冬哉くん、このふたつで迷ってたように見えて。だから、はんぶんこ.....で、なんて」
そこで、ふと我に返る。
よく考えてみたら、冬哉くんは女嫌いなんだから、はんぶんことかありえないよね。
今日だって、パンケーキという冬哉くんの好きなスイーツのお店だから....と、気まぐれで着いてきてくれただけなのに。
.....す、すべてが地雷な気がしてきた。
「ご、ごめん.....っ。うそ!あの、冗談....です」
ありがた迷惑もいいところ。
だんだんと言葉がしぼんでいく───と、こつん、と頭をはたかれる。