「ふふ、未桜かわいい。似合うよ....!」



渡された手鏡を覗いてみると、リップで色づいた赤い唇。


首を傾げる私に、悠莉はふわっとはにかむと、ちょこんと手元にリップを置いてくれる。



「透け感のある感じにしてみたの。コーラルレッドのリップ、未桜に似合う思って買ってみたんだ~!」


「え、私に....?」


「未桜、最近すっごくかわいくなったもん。.....桜雅君のおかげかな?」


「っ、ゆうり.....!」



ないしょ話みたいにそっと囁かれて、じわっと頬が火照る。


すきなひとができたから、なんて。


ものすごく恥ずかしいのですが.....!



「わたしね、ヘコンだときはお気に入りのリップつけるの。精一杯自分を可愛くすると、元気出るんだよ」


「あっ、だからリップ.....つけてくれたんだ」


やさしく微笑む彼女に、悠莉なりの方法で私を元気付けてくれたことに気づく。



.....ほんとうに、やさしいなあ。