その瞳に捕まると、そらせない。


甘ったるい感情に包まれて、目の前しか見えなくて。


まるで、支配、されているような────




「....おはよう、律くん」


そっと控えめに視線を合わせながら、笑顔を向けた。


すると、ふ、と目元を細めた律くんは、ふわりとやさしく笑うと、私の髪を右手で梳きながら、手のひらで上からなぞるように触れて。



「....ん、おはよ」


「っ、」



ふにゃりとした気の抜けた笑みをこぼしながら、こつん、と額を合わせてきた。


触れあっている部分が、あつい。


ぎゅうっと、心臓が掴まれたみたいに、いたい。



ドキドキ、なんていうものをとうに越えて、バクハツしてしまいそう。


.....だって、律くんのこんなカオ、みたことない。


余裕なカオでも、意地悪なカオでもなくて、気の緩んだ無防備なカオ。