「なに、俺のハナシ?」


「う、あ....ええと、」


首を傾げる律くんに、しどろもどろ。


口ごもる私に、悠莉はにっこりと可憐に微笑む。


「そ、桜雅くんのハナシ。未桜とのお泊まりについて~」


「泊まり.....って、ああ」


「ゆうり!だからあれは、みんなで泊まったの....!やましいことなんてなにも──」



『一晩、未桜のこと一人占めさせて』


.....なに、も.....。



「(っ、)」



じわり、と熱に侵食されて。

心臓はどきどき、不規則なリズム。



これを感じるのは、二度目。



「なにもなくないだろ?」



熱のこもった吐息が耳をくすぐって、びくりと肩が揺れた。


耳にかかっていた髪をさらりと掬われて。



「夜、ずっと俺に抱きついてたくせに」


「うう゛.....それは、っ」



そこで思い出したのは、あの日の朝のこと。