『はは、すみません。あまりにも貴方がガキっぽくて。つい口が滑りました』
さっきまでの顔を一変させて、爽やかな笑みを浮かべる晴。
.....こいつ、やっぱりこえーな。
ここだけの話、俺が知ってるなかで怒らせたら一番ヤバいのは晴だと思っている。
表ではにこにこしてるくせに、実はすげえ口か悪い、腹ん中まっ黒。
そんなことを考えていると、はっと思い出した。
『女....は。タクシー呼んでくれた、あの』
『女....、ああ。彦さんが言っていた彼女のことですか』
''彦さん''とは、家の運転手。
俺を拾ってくれたの、彦さんのタクシーだったのか。
『.....名前は?』
聞けなかった、彼女の名前。
半分祈るような気持ちで、尋ねる。
『あおい、と名乗っていたそうですよ』
『っ、』
''あおい''
その三文字が、すっと胸に染みていく。



