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目が覚めたときには自宅の寝室だった。
あの後、彼女が拾ったタクシーが''桜雅''の持ち物だったらしく、そのまま自宅に運ばれたらしい。
『風邪の原因は、疲労からの寝不足だそうですよ』
『.....ごめん』
ずっと傍にいてくれたらしい晴に、俯きながら謝罪の言葉を呟けば、ぽん、と頭に手を置かれる。
『無事でよかったです。....あまり、心配かけないでください』
目尻を下げてくしゃりと笑う晴に、ふっと笑みが溢れた。
『子ども扱いすんな』
『まだまだ子供でしょ、貴方は。甘えていいし、弱音を吐いてもいいんですよ。努力に無理は禁物です』
『けど、俺は''桜雅''の──』
『''桜雅の長男''である前に、まだ14歳のガキでしょ。貴方は』
にこりと微笑む晴に、どこかブラックなオーラを感じるのは、たぶん気のせいじゃない。
『ガキって、おまえ....』
あまりにもストレートな物言いをする晴に、ふっと笑ってしまう。
....そーだよな、俺はまだ、ただのガキだよな。
晴の''ガキ''という言葉に、すっと心が軽くなったような気がした。
気恥ずかしくなって横目で睨み付ければ、ふ、と吹き出した晴。
『俺からしたら、おまえはまだ14歳のガキンチョだよ。ばぁーか』
『....おまえって、一応雇われてるんだよな』



