''誕生日おめでとう''なんて、何度も言われた言葉なのに。
ばかみたいに嬉しいなんて、不覚にも泣きそうになるなんて、どうかしてる。
「(ほんと、どーかしてる)」
慣れないものに触れたとき、どうすればいいのかわからない。
''純粋なやさしさ''なんて、慣れていないし、知らない。
温かさに満ちた感情なんて、知らないから。
「おまえで、よかった」
今日会えたのがお前でよかった。
伝えるのヘタクソでごめん。
でもほんとうに、そう思ってる。
自然と溢れた笑みを向ければ、彼女は大きく目を見開いて、照れくさそうに笑った。
「....ありがとうございます。私も、あなたでよかったです」
すこし震えた声で、嬉しそうに笑った隙間に、泣きそうな表情が隠れているような気がした。
分厚いメガネの奥の、ほんとうのお前が知りたくて、手を伸ばそうとした、そのとき。
────ぷつん、と限界を迎えたように途切れた意識



