「なんで真冬の夜に、こんなとこいるのかって?」
視線だけ女の方に向けながら言えば、女は図星、というように目を見開いたあと、小さく頷いた。
.....わかりやす。
「お前、嘘つけないタイプだろ」
「う、すみません....」
「べつに怒ってねえよ」
女は俺を控えめに見上げて、ほっとしたように口元を緩める。
思ってることぜんぶ顔に出るな、こいつ。
顔を横に向けると、女がなにか言いたげに視線を送ってくる。
「どーした、」
「あ、っと」
「なんだよ。言いたいことあるなら、言えば」
「その上着.....さむそう、です」
女は俺のコートを指差して、少しだけ顔を歪める。
「だから、どうぞ.....」
視線が絡まったかと思うと、女はなにかをポケットから取り出した。
俺の手のひらに乗せられた、''それ''。
「──カイロ?」
「はい。冷えた身体にはカイロです」
「...これ、お前が使ってたんじゃないの?」
手のなかのカイロは、まだ温かい。
明らかに使いかけ。
俺の言葉に、女は首を横にふりながら、やわらかい笑みを浮かべる。
「これですこしでもあなたが楽になるなら、それが一番いいです」
「っ、」
手のひらにじんわりと広がる温もりと、やさしい声。
────すとん、と
つっかえていたなにかが、落ちていく音がした。



