「はなせ....よ」
誰にも隙を見せたくない。
弱みを──握られたくない
威嚇するように睨み上げても、表情ひとつ変えない女。
じっと俺を見たまま、心配そうな表情を浮かべている。
....ほんと、なんなのこいつ。
「.....あの、ちょっと失礼します」
突然、ひやりとした感触が額にあてられた。
ぼうっとその光景を傍観していれば、女はすぐに俺から手を離す。
「熱、たかいです。こんなところにいたら、もっと悪化しますよ」
「....わかってる」
そんなの、お前に言われなくても。
「家遠いんですか....?」
「徒歩で一時間」
「と、遠いですね....」
ほんの一瞬、女が眉をひそめたのがわかった。
.....まあ、それが普通の反応。



