「はあ、ついてねえ.....」


暗闇に広がる静寂に、荒い呼吸だけが響いた。

寒気は強くなって、次第に手の感覚が消えていく。


まともに体調管理もできないとか、ほんと情けねー.....。


眠気に誘われるように、瞼が閉じていく。



──ぜんぶ、自業自得




「あの、大丈夫ですか.....?」



目を閉じきる前に、頭上から落ちてきた、声。


薄く目を開ければ、心配そうに顔を歪める女。


......誰だ、こいつ。



「べつに。大丈夫」



逸らしながら、立ち上がる。


.....が、思うように力が入らない。


ふらりとバランスを崩して、身体が右に傾いた。



「っ、危ない!」



背中にまわされた腕に支えられて、再びベンチに腰かけた。