「未桜っていつも甘い香りするから。なんかつけてんのかなって」


「ええ、そう....?あ、シャンプーの香りかも。ホワイトフローラルのシャンプー、ずっと使ってるから」



風呂上がりだからか、いつもより強く感じる甘い香り。


しつこくなくて、あたたかくて、心地いい香り。



「この香り、好き」



一束、髪をすくいとって、軽く口付ける。


未桜は前を向いているから、そのことには気づかないけど。


髪のラインに沿うように撫でれば、ゆっくりと振り返る未桜。



「....あ、ありがとう」



頬をうっすらと赤く染めながら、花が綻ぶように、ふわりとはにかんで。



「私も律くんの香りすき、だよ」


着ているスウェットの裾をつまんで、恥ずかしそうに微笑んだ。



「っ、」



あまりの破壊力に、言葉が詰まる。


俺の服を着ているだけで理性揺らぐのに。


そんな笑顔で、そんなこと言うな....ばか。