「不意打ちやめろって....」


「ふいうち....、」



律くんにしてはめずらしい、余裕のない声色。


その頬は薄く染まっていて、なんだか、少しだけ。



「....ふふっ」



かわいい、なんてね....。


その笑みが、律くんには気にくわなかったらしく。



「くそ、ナマイキ」


「っ、ひゃ....っ」



────いつも突然に触れてくるのが、律くんで



耳たぶに指を這われて、軽くはじかれた。


思わず口から変な声が漏れて、慌てて手のひらで押さえる。



そんな私を見てクスッと笑った律くんの指先は、私の頬に添えられて。



「....やっぱり、真っ赤」



─────この出来事から



律くんを不機嫌にしてはいけない、それが私の暗黙のルールになった。