「────喜んで、くれました。
モデルのオーディションに合格したって報告したら。『おめでと。がんばれよ』って。優しく、笑ったんです....っ」
「....うん。律くんは、そういうひとだと思うよ」
やんわりと微笑めば、潤んでいた瞳から、すっと一筋の涙が伝った。
それですら絵になる彼女に、一瞬見惚れてしまったけど、あわててハンカチを渡す。
すると尊ちゃんは、ありがとうございます、と恥ずかしそうに笑いながら受け取ってくれた。
尊ちゃんの背中をそっとさすりながら、私はゆっくりと言葉と紡いでいく。
「律くんは、とっても努力家だと思うよ。でも、それは尊ちゃんも同じじゃないかな?」
「わ、たしも.....?」
首を傾げる彼女に、わたしは笑顔を向けながら頷く。



