「律くんの部屋、戻ろう」


肩を落としながら、来た道を帰ろうと振り返れば。



────あれ?


どっちから、来たんだっけ....?


首を傾げてみても、答えが返ってくるはずもなく。


こ、こうゆうときはお金持ちあるある、お手伝いさんに....!!


キョロキョロと辺りを見回してみても、人影は全くなく。



「は、はは。オワッタ」


とにかく、戻らないと....と、踏み出した瞬間。







「────あなた、誰?」


「っ....、え」



ギイィ、と扉が開くような音の後に、鈴のような可愛らしい声が聞こえて。


ゆっくりと振り返ると─────ひとりの小柄な女の子が、不思議そうにこちらを見つめていた。