「桜蕾は名目上、っていうか世間的には族だけどさ。そこまでワルいことはしてないんだよ?バイクだって全員免許をとってるし。
....まぁ、バイク持ってないヤツがほとんどだけど」
「そうなんだ。パラリラ~っ、みたいな感じかと思ってた....」
「ふは、族のイメージ壊してごめんね。先代がそうだったらしくて」
下っぱしさんを横目に見ながら、由良くんが吹き出す。
「先代.....?」
「うん。桜蕾を作った、一代目。この街が今よりもずっと荒れてた頃に仕切ってた、って聞いてる」
「そう、なんだ....」
そういえば前にお父さんから、『俺が子供の頃、この辺りはものすごく治安が悪かった』って聞いたことがある。
それを仕切っていた──つまり、治安を守っていたのが、桜蕾
その先代という人は、とてもすごい人たちなのだろう。
「桜蕾って、ヒーローみたい」
「え?」
突然の私の言葉に、由良くんは不思議そうに首を傾げた。



