「な、ないない....!その、やさしいひと.....だとは思うけど」
律くんはやさしい。
でも、それは自分のせいで他人を巻き込んでしまったっていう、罪悪感....、からの優しさであって。
そのやさしさに、トクベツな意味なんてない。
.....トクベツなんて、求めてはいけない。
「えー、でもさぁ、保健室で二人きりだったんでしょ?ドキドキしなかったの~?」
「ど、ドキドキ....」
『可愛いな、未桜』
抱きしめられた温もり、頬を撫でる指。
そして、鼻をくすぐる甘い香り。
律くんの──香り
「(っ....、だめ、)」
思い出すだけで、身体が沸騰したように熱くなる。



