「そうなんだ...」

「智沙さんはここから家まで近いの?」

「うん、歩いて行ける距離」

「へぇ~、近いんだ。なら学校の帰りに智沙さんの家に遊びに行けるね?」

「えっ?あ、あ、遊びにくる!?」

突然、壱馬くんから遊びに行けるねなんて言われた私は戸惑ってアタフタしてしまう。

それを見て、壱馬くんはクスッと笑った

「ごめんごめん、冗談だから。笑
"今は"」

「へっ?今は?」

「そう、今は。慣れてから遊びに行くね」

「本気で言ってんの?」

「俺は嘘つかないよ。」

遊び人なのかこの人は。普通、異性の家に遊びに行くなんて考えないだろうし。異性の家に行くとしてもそれは付き合ってるカップル達くらいだろう。

「付き合ってもないのに...」

独り言のように小声で呟いた。

「付き合ったら遊びに行けるんだよね?
じゃあ俺と付き合お」

「え...どうせ本気じゃないくせに軽々しく付き合おなんて言わないで」

「俺はいつでも本気だよ」

「信じない、そんな言葉。そうやって男はいつも寄ってきて、本気でもないくせに好きって言って付き合ってとか言ってくる。だから信じない。」

あ...言ってしまった...

「智沙さんの過去に何があったか知らないけどとにかく俺は本気で智沙さんを狙いに行くよ。今言ったこと後悔させてあげる。必ず。」

壱馬くんは怒ることもせずに真っ向から狙いに行くと言ってきた。

正直、本心を言ったから狙うなんて事はないと思ってたのに。

それでも

「ふっ、私の事、後悔させられるかな?」

私は信じない。絶対に。