長い一日も終わり、帰りの時間になった。

「あー、日直めんどくさ。美香、待たせちゃうと悪いから先帰ってて?」

「分かった!じゃ、また明日ね~」

「うん、また明日!」

美香が帰った後、私と彼だけの空間になった。

「ねぇ、川村さん、今日俺の事ずっと見つめてたよね?どうして?」

急に彼が話しかけてきた。

突然のことに驚いた

「えっ、何でだろう...自分でもよく分かんないの。」

「自分でもよく分からないの?笑」

「なんか川村くんの目を見てると自分と似ている気がして...」

「似てる?面白いね、川村さんって
さっきからずっと思ってたんだけど同じ苗字だしややこしいよね」

「確かに...」

「ねぇ、下の名前で呼んでいい?智沙って」

「...いいよ。私も壱馬くんって呼ぶね」

一瞬ドキッとした。彼に名前を呼ばれただけなのに。

「壱馬って呼び捨てで呼んでよ。俺も呼び捨てだし。」

「まだ慣れないっていうか、恥ずかしいっていうか...」

「そっか。なら俺も慣れてもらうまで智沙さんって呼ぶね」

「うん」

彼といるこの空間は何故か落ち着くような気がした。


「そういえば、何でここに転校してきたの?」

「家の都合、かな」