「川村の席は、あそこの空いてる席だな。」

「はい、分かりました。」

担任の指定した席は私の隣の席だった。

「初めまして。川村壱馬です。」

「あ、初めまして。川村智沙です。」

偶然にも同じ苗字だった事に少し驚きながらも挨拶をした。


「今日の日直は...おっ、2人とも同じ苗字か。ダブル川村だな。よろしくな。以上解散」

最悪。今日日直だなんて。

でも、隣の彼と一緒で何故か嬉しいと思う自分がいた。


それからホームルームが終わり、恒例の如く質問攻めされていた。

無意識にぼーっと彼を見つめていた。

「智沙?智沙!ちょっと聞いてる?」

「ん?あぁごめん。聞いてなかった...」

「智沙が人の話を聞かないくらいぼーっと見つめちゃって。珍しいね?」

「そ、そう?」

「もしかして、気になるの?川村くんのこと」

「...そんなことないよ」

「何その間、怪しい~」

「もう、気にしなくていいの!!」

美香は鋭いところがある。

自分でも不思議と見つめてしまう。
なぜ?