Violet Detective

「……そう、もう何もかもお見通しなのね……」

そして、京子は殺人の動機を話してくれた。

「私に息子がいたことはもう知っているんでしょ?息子はね、あの男に殺されたのよ!」

京子の話は、想像以上に重いものだった。十五歳だった息子が西園寺の運転する車に跳ねられ、亡くなった。事故の原因は西園寺の不注意。しかし、京子の息子が悪いことにされ、それに文句を言うと倉本に脅された。泣く泣く京子が慰謝料を払うことになったのだ。

「寺井も、妹が西園寺の会社でこき使われて自殺に追い込まれていた。だから今回のことを持ちかけたの。バーによく来る倉本の酒にエキノコックスの卵を入れ、倉本に感染させた後は西園寺の屋敷で働いてもらったの。食事に卵を混ぜてもらったわ!」

声高らかに京子が笑う。それは、まるで狂っているように京子は笑い続けた。

右京さんと東さんに表情はない。私はただ、京子が哀れだった。

「なぜ、ここまでして殺人を急いだんですか?」

私は、ずっと気になることを訊ねた。エキノコックスは感染すれば気づかないうちに病気が進行し、治療をしても亡くなってしまう場合もある。それなのに、なぜ急ぐ必要があったのだろう。