寺井からの最後のメールは、「倉本はよく私のバーに来ていた」だった。

「バーに何かあるということでしょうか?」

私が訊ねると、右京さんと東さんは同時に頷く。そして、コーヒーを一気に飲み干すと立ち上がった。

「調査に出かけよう」

右京さんの言葉に、私は大きく頷いた。



セレステは、犯罪の横行していそうな裏路地にあった。たしかに倉本が来そうな店だ。

「閉店」とプレートがドアにかけられたバーは、古びた廃墟となっている。

鍵は扉にかかっていなかったので、私たちは堂々と扉から入った。

「鍵、かかってなくてよかったよ。前回の事件では扉を破壊して入ったから……」

苦笑しながら東さんが言う。私は「それ、犯罪じゃないですか?」と訊いてしまった。

店内はそれほど広くはない。しかし、店内は廃墟らしく散乱していて手がかりを探すのに時間がかかりそうだ。

「ふむ。探しがいはあるな」

そう右京さんは目を輝かせ、カウンターへと向かう。