Violet Detective

「君のことを話したら、すんなり招待状を出してくれた。天才という言葉に食いついたんだろう」

右京さんはパーティーの様子を見ながらそう言った。パーティー会場は、十人だけとはいえ十分華やかだ。

西園寺虎徹は、黒い噂をよく囁かれている。経営者として成功したのは裏で犯罪まがいなことをしていたから、とネットで騒がれていたりもする。それは、有名人と知り合いになるためならば、お金持ちのお嬢様でもない私を簡単に招待してしまう軽さからそう言われているのではないだろうか。

パーティーが始まって早二時間。西園寺虎徹の姿はない。西園寺の妻、朱美（あけみ）はパーティーが始まった時から姿を見せているのだが……。

「蘭ちゃん、せっかくのパーティーだしご飯食べようよ。すっごく豪華だよ！」

東さんがそう言い、私は「すみません。あまり食欲なくて……」と呟く。煌めくパーティー会場は素敵だが、食事をとりたいという気分にはならない。

「ダイエットはダメだよ！ちょっとでもいいから食べて！」