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僕と夜空が初めて出会ったのは、確か小学一年生位だっただろうか。

その時、既に二度目の引っ越しを経験した僕は、生まれて初めて来たこの町に、少し不安もあったが脳内の8割以上は希望に満ちていた。

その時、僕の越してきた所の隣に元々住んでいたのが夜空だった。

当時から、近所でもアイドルのように扱われていた。

どこにいても、必ず誰かしらに「かわいい」と声を掛けられるほど。

そんな彼女とは、家が隣だったこともあってすぐに仲良くなった。

一見すると明るく元気で可愛らしい、天真爛漫な子に見えていたが、実際は結構強引なところもあった。

その少し強引なところは、周りからはリーダーシップがあるなんて言われていたらしいけれど、僕にとっては迷惑でしかなかった。

僕の家のチャイムを連打し、外に出たところで引っ張り出されては家族ごっこやらお姫様ごっこやらに付き合わされたり。

山の麓の神社の桜の木にどちらが速く上まで登れるか競争し、自分が負けたらすぐにいじけて僕に八つ当たりしてきたり。

一緒にいて疲れることのほうがおおかったような気がするけれど、それでも楽しかった。