星空の下、ふたりの約束

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昔のことを思い出し、胸が痛くなった。

法事を終え、外に出るともう既に空には月が昇っていた。

一年前と変わらない、三日月だった。

薄く雲がかかっていたけれど、星の輝きが眩しかった。





行きと同じように自転車に乗って帰るつもりだったので、先程置いたどころへ戻る。

錆びた鍵がギイギイと嫌な音を立てる。

少し力を加えるとあっさり外れ、適当にカゴに放り込む。

そのまま家に帰ろうと、自転車を走らせたその時だった。




−チリン





どこからか、鈴の音が聞こえた。

その音に気づいた瞬間、思わずブレーキをかけた。

それくらい、普通なことだがその音はあまり耳にしないような、不思議な音色をしていた。

普段の僕なら気にも留めないことなのに、何故かすごく、誰かに引き止められているような感覚がした。



気がつくと、導かれるように僕は音のした方に自転車のライトを向けていた。