数日後、雄也と成沢が話しているのを見た時、雄也は成沢の事が好きなんじゃないかと思った。



クラスの女子は、転校生の俺以外の男子とは、あまり仲良くしない。



でも成沢だけは、男子とも、女子とも普通に仲良くしていた。




“俺だけに”じゃない事が、子供ながらに悔しかったのかもしれない。




俺は成沢をからかう様になって、


バカな成沢は、本気で言い返してくる。




俺らのそんなやり取りを見て、おもしろがった他の男子も、俺と同じ様に成沢をからかって遊んだ。




ある時、クラスの男子が言った、


「ブス!」


って一言。



いっつも平気な顔をして、強気で言い返してきていた成沢が、初めて泣きそうな顔をした。




明らかにやりすぎた。




そう思っても、素直に謝れなかった。




「お前ら、いい加減にしろよっ!」



そう言ったのは、雄也だった。



成沢はその後、雄也に笑顔で「こんなの平気だよっ!」って言っていた。



それがまた、悔しかったんだ。




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