倉橋の家は、転勤族ってヤツらしい。



お父さんの仕事の都合で小学4年生の時に倉橋は転校して来た。




だいたい2・3年に1回くらいのペースで引っ越しを繰り返してたんだって。



中学に上がってすぐの頃に、またお父さんの転勤が決まった。




もう慣れていたはずの引っ越しも転校も、倉橋は初めて受け入れられなかった。



理由は、好きな子がいるから。



もちろんそんな理由を両親に話せる訳もなくて、さんざん説得されたらしい。



でも倉橋は最後まで“行く”とは言えなかった。



結局、お父さんが単身赴任で一人で行く事になった。



倉橋が中学を卒業したと同時に、またまたお父さんの転勤が決定。



倉橋が一人暮らしを始めて、お母さんはお父さんについて行く事になった。





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