気持ちは固まっている。
とは言っても、なかなか行動に移せないのはやっぱり私が臆病者だから。
本当に最後かもしれない・・・。
そう思うと、どうしても勇気がでない。
何にも出来ないまま冬休みを迎えた。
去年の今頃はまだアツが隣にいて、すごく幸せだったな〜なんて考えながら、お父さんとお母さんと3人での年越し。
「コナミは彼氏はいないのか?」
ちょうど新年を迎えて、テレビを眺めている時。
お父さんの口から初めて出た“彼氏”というフレーズに、私とお母さんは目をまん丸くした。
「彼氏がいたら、今日みたいな日はきっとお家にいないよ?」
“去年みたいにね。”なんて、心の中で付け足しをしていると、それがまるで聞こえていたかの様にお父さんが質問を続けたから、再びお母さんと目を合わせた。
「コナミの彼氏、お父さんも会ってみたかったな。何で別れちゃったんだ?」
私に彼氏がいた事はお母さんが話してくれていた。
だけど、お父さんは絶対反対で、それ以上聞きたくないと、いつも不機嫌になって詳しくは話せなかったらしい。
お父さんが私に直接アツの事を聞いてくる事はなかったし、私も話さなかった。
「別れちゃったけど、本当に大好きだったんだ。お父さんにもちゃんと紹介したかったんだけどごめんね。でもね、すごく優しい人だった。お父さんが反対できないくらい、大事にしてくれてたんだよ!!」
「お父さんはコナミが幸せならそれでいい。反対なんてしないよ。いい恋をしなさい。」
嘘つき・・・。本当は彼氏なんて作んなくていいって思ってるくせに。
なんで今、そんな事言うかな・・・。
「お父さん・・・コナミね、すごく好きな人がいるの。叶わないかもしれないけど、コナミはその人を好きな気持ちを幸せだって思うんだ。」
テレビから明るい声が響く中、なぜか我が家のリビングはしんみりしていて、私はアツの事を想ってまた涙を流す。
まさかお父さんと恋について話をする日がくるなんて、思ってもいなかったよ。
・