自分から来ておいて、篤貴は特に喋るわけでもなく、ただぼーっとテレビを眺めていた。




成沢の涙を見たばっかだし、俺もなんとなくいつも通りではいられなかった。




母親が持って来た焼きめしを食いながら、篤貴に言うべきかどうか考えていた。


「ごっそうさん。」


「お前、ちゃんと食ってんのか?」



「まぁ適当に。」



やっぱ言わねー方がいいよな。


言ったら多分、コイツ余計悩むんだろうな・・・。



「今日さ・・・」



何かを言いかけて、途中で止めた篤貴。


視線を落として、思い出している。



聞かなくても分かる。


「何だよ?」



「・・・アイツに告った日なんだ。俺にとって、アイツの誕生日の次に大事な日。」


ふって笑いながら、遠くを見つめて、想ってんだ。



そんな大事な日に何でここにいんだよ?


何で会いに行かねーんだよ?



「お前さ、成沢の事忘れる気ないんだろ?だったら意地張ってねーで、頭下げて謝って、もう1回やり直せよ?」



「出来るかよ、そんな事。もう泣かせない。アイツ泣かせなるくらいなら、俺が泣くよ・・・。」



どうすりゃいいんだよ。



何でお前らそんな辛そうな顔すんだよ。


望んでる事は、同じなはずなのに、自分ばっか責めて。



「女、紹介してやろうか?」


「いらねーし。」


「お前、成沢に男出来たらどうする?」

「・・・・・・。」


「まぁそれは成沢の自由だもんな。お前には関係ねーか?」

「・・・ああ。」



平気じゃねーくせに。素直になれよ。



泣きそうな顔して、何我慢してんだよ・・・。




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