新学期が始まって、ようやく冬休み気分が抜けてきた頃。



私の頭を悩ませる出来事は、ほんの些細な疑問から始まった。



それはいつもと同じ様に迎えた放課後。


「アツ、帰ろ?今日さ何かDVD借りて帰ろうよ?」



「悪い。俺、今日ちょっと寄るとこあんだ。あんま時間ねぇから、送ってやれない。お前、ひとりで帰れ。」



朝、一緒に登校した時も、お昼、一緒にお弁当を食べた時も、そんな予定の事は何にも言ってなかった。



突然誘いのメールでも来たのかな?


そりゃアツだってバイトのない日くらい、私ばっかりとじゃなくて、友達とも遊びたいよね。



「分かった。じゃあ夜、電話ちょうだいね?」



教室を出て行くアツを見送って、私も久々にユミと二人、放課後の街に出掛けた。




.