頭の中で“もしも”を考えていたら、ちょっとだけ自信がなくなった。



アツと付き合っていなかったら・・・



アツが気持ちを伝えてくれていなかったら・・・



私は今もアツの事が大嫌いのままだったかもしれない。




「お前、バカで単純で押しに弱いから、絶対佐山と付き合ってただろ?」



いつもの様にムカツク事を言われてるんだけど、強く言い返せないのは、自分でも自覚があるから・・・?




「お前・・・一瞬でも俺と別れる事考えた?」



小さく聞こえたアツの声。



「怒るよ!そんなの、0・1秒だって考えてないっ!確かに私は単純バカだけど、自分の気持ちくらいちゃんと分かってるもんっ!好きな人がいるのに、他の人好きなる余裕なんてないよっ!私そんな器用じゃないっ!」



怒っているのに半泣きで、自分で何を言ってるのかさえ分かんないくらい感情で喋ってる。



情けないけど、これが私。



「アツは・・・アツだけは信じてよ。アツの事好きになる前の私と、今の私は同じだけど違うんだよ?」


他の人じゃダメだって。


アツじゃないと嫌だって。


こんなに強く思ってるんだよ?




「分かってる。」



アツはそれだけを言うと、優しく、でも力強く私を抱きしめてくれた。



すごく大切なものを扱うように、何度も背中を撫でながら、


「お前は今のままでいいから。変わらなくていいから。バカのままでいいから。だから、俺の事ずっと好きでいろよ。」


腕に力を込めてギュッと抱きしめる。



アツ・・・不安だった?

佐山くんの存在を怖いと思った?



「大丈夫だよ。ずっと好きだよ。こんなに好きなのに、まだ足りない?」




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