帰り道、いつもの様に自転車で私を送ってくれたアツはずっと無言だった。



家の前まで着いても元気がない。



「アツどうしたの?まだ体しんどい?」


「・・・ごめんな。」



優しく頭を撫でながら、すごく複雑な顔をして・・・



「何で?アツ、何で謝ったの?」



私の質問にアツは小さく首を振った。



「アツ・・・」



「どこにも行くなよ・・・ずっと俺といろよ。」



そんなの、当たり前だよ。



どこにも行かない。


「アツと一緒がいい。アツと一緒にいたいよ。」



佐山くんの気持ちを考えたら喜んじゃいけない様な気はするけど、やっぱり何だかほっとした。




「お前、俺と付き合ってなかったら、佐山と付き合ってただろ?」



「えっ?・・・そんな事・・・ないよ?」



考えた事なかったけど、言われてみれば・・・



アツと付き合う前は彼氏が欲しくてしょうがなかったわけだし、佐山くんかっこいいし、アツがいなかったら、あんなアプローチの仕方でもなかっただろうし・・・委員会一緒にやってた時はすごく優しかったし・・・。




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