「カレーなかったから、ハヤシライスな?」



「えっあっうん。ありがとう。」




アツは・・・まるで佐山くんの事が見えていないかの様に、私の隣に座って食べ始めた。




「なぁ倉橋、もう風邪治ったの?」



「お前、今日バイトあんの?」



「えっ?今日はないよ。」



私もなるべく佐山くんの事を気にしないように・・・しようとは思うんだけど・・・



「成沢バイト休みなんだ?じゃあ放課後、俺とデートしようよ?」



「ええっ?」



「今度ハヤシライス作ってみろよ?コレよりうまくな?」



なんだか・・・やりにくい。



「アツの方が上手なんだから、アツが作ってよ?」



「嫌だよ面倒臭せぇ。」



私達2人の様子を見ても、佐山くんはめげない・・・



「成沢、今度俺にも弁当作ってよ?一度でいいから、好きな子の手作り弁当、食ってみたいんだぁ〜。」




「あの佐山くん・・・」


「コナミ、寒いからさっさと食え。」



噛み合わない会話をポツリポツリとしながら、私は味もわからずハヤシライスを口の中に詰め込んだ。




さっきまでフワフワと湯気をたてていたココアも、誰にも手をつけられずに冷めていく。




この数分後、あんな事件に発展しちゃうなんて・・・



誰が予測出来た?




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