昨日あれだけやって来ていた佐山くんが、今日はまだ1度も姿を現していない。



何にもないに越した事はないんだけど、解決していないだけに落ち着かない。




昼休みを迎えた教室は、いつもの様に賑やか。




「お前、飯は?弁当持って来てんのか?」




アツにはお粥を作ったんだけど、自分の分だけお弁当を作るのって、なんか面倒で、今日は適当に購買でパンでも買って済ませるつもりだった。



「学食行こっか?」


寒い廊下を歩いて食堂に向かう。



階段を降り始めたと同時にそっとアツの手を握ってみた。



「なんだよ?」


「いいじゃん!」



学校ではいつも以上にそっけないアツだけど、繋いだ手を振り払わないでいてくれた。



チラチラ感じる視線にちょっと照れちゃうけど、今は嬉しさの方が勝ってるかな?




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