「すげー荷物。家どこ?運んでやるよ。」



「いや・・・大丈夫。」



タイミング最悪で偶然出会ってしまったのは、


・・・佐山くん。



先に門を曲がってしまったアツは、まだ気付いていない。




「朝、急にごめんね。」



うわ〜っ今、そんなのんびり喋ってらんないんだって!!



「あっあの私、今ちょっと急いでて・・・」


「家帰るんだろ?遅いし送ってく。」



いやいやいやいや・・・



「おいっ!何やってん・・・」



もうフォロー不可能だよ。



ズカズカこちらに歩み寄ってくるアツは、完璧に怒ってる。


「コイツに近づくなって言っただろ!」


静かな路地にアツの怒鳴り声が響く。



「アツ・・・声、大きいよ。」



「うっせー!お前は黙ってろ!」



ひぇ〜〜〜っ!!



「俺なら、大切な彼女にそんな事言わない。怒鳴って黙らせたりしない。」



「何が言いたいんだよ?」



「成沢と別れろ。」


ちょっと、何言い出すのよ??



やめてよ!!



朝同様に、二人の間でオドオドする私。


「ふざけんな。コイツは俺のだ。別れる気なんてねぇーよ。」



アツは低くそう言うと、私の腕を引き寄せた。



多分、怒ってるだろうけど、その手は優しかった。




「俺、マジだから。絶対に、お前から成沢奪うから。」



言わなきゃ・・・



ちゃんと、アツが好きだって言わなきゃ・・・





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