「おいっ、終わったら電話しろよ。」



「もーっ分かってるって!じゃあ行って来ます!」



不機嫌なアツに手を振って、私はユミと教室を出た。




今日は人生初バイトの初出勤。



ドキドキしながら駅前のカラオケ屋に向かう。





クリスマスまで1ヶ月ちょっと。



バイトの目的は、もちろんアツにプレゼントを買う為。



ちょうどユミがバイトを探していたから、私もそれに乗っかった。



だって初めてのバイトだから、1人は心細いでしょ?



自慢じゃないけど、私は今までお小遣いに困った事がない。


っていうのも、4人兄妹の末っ子で唯一の女の子。



お父さんは私にバイトをさせる事を反対している。



月々もらう親からのお小遣いに加えて、バイトの出来ない私に同情した3人のお兄ちゃん達は、お願いするとすぐにお小遣いをくれる。



こう見えても、家ではけっこう大事にされて、甘やかされてたりする。



でもさすがに彼氏のクリスマスプレゼントを貰ったお金で買うのは嫌だし、プレゼントの他にも、クリスマスデートの為に服も欲しい。



お母さんに相談すると、
“いいんじゃない?”って、お父さんを説得してくれた。




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