「おい、起きろよ!」



目を覚ますとアツが私を見下ろしている。



そうだ・・・私昨日アツのお家に泊まったんだ・・・



んーと伸びをして、そのままアツの首にしがみつく。



「アツ、寒いっ」



「お前、朝から誘ってんのか?俺は別に出掛けなくてもいいんだぞ?」



ニヤリと笑ったアツの顔、背中に回された手の感触で、自分が何も着ていない事にようやく気付いた。



慌てて布団を体に巻きつけて、クシャクシャの頭を指でとかす。



ふっ・・・って笑ったアツが顔を近づけてチュッってキスをしてくれた。



朝から大好きな人に起こしてもらって、おはようのチューまでしてもらえるなんて・・・


ん〜っ幸せ〜〜



「・・・おはよう。」



「用意しろよ。今日はデートするんだろ?」



「うん!うんうんうん!!」




シャワーを浴びて、出掛ける準備をする。



せっかく今日のデート用の服を何日も前から選んでいたのに、昨日と同じ服になっちゃったし、髪だって気合い入れて巻きたかったのに、ストレートのまんま。普段3本使いのマスカラも、ポーチの中には1本しか入ってなくて・・・



「アツ、せっかくのデートなのに私今日いつもよりブス?」


「あ?・・・うん。」



テレビを見て、全然こっちを見ないまま適当に答えられる。


しかも、“うん”って・・・



「つーか早くしろよ?何時間かかんだよ?」



アツは30分も前から準備はできていて、少しイライラしているご様子。



「しょうがないじゃん。女の子はね、いろいろ時間がかかるんだよ!」



アツと並んで歩くんだもん。ちょっとくらいかわいい自分でいたいじゃん?



鏡を見てテンションが下がってしまいそうになった時、ふと自分の指に輝くリングが目に止まった。



これ、アツが私の為に買いに行ってくれたんだよね・・・


アツが選んでくれたんだよね・・・





「超ーー嬉しいーっっ!!」



「うっせーよっ!何だよいきなり!」




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