わざとアツの届かない所に座ってテレビを見る。



「おい、リモコン取って?」



「はい」



リモコンを渡して、また同じ所に座りなおす。



くくくっ・・・アツはきっと、リモコンを持って来させて、私を近くに座らせようとしたんだ。



その証拠に、チャンネルを変える事なく、またテレビを見ている。



私だってアツの行動をちょっとくらい分かる様になってきた。




意外と照れ屋だから、素直に“来て?”って言えないんだ。


かわいくないけど、かわいいヤツ。




まっ素直じゃないのは、私も人の事言えないけど。




「退屈〜。帰ろっかなぁ〜?」



私の必殺技。



これを言うと、アツは急に慌てだす。




「ゲームするか?バイトのヤツに借りたのがあんだよ。あと、お前見逃したって言ってた映画も、DVD貸してもらったんだった。見るか?」



か〜わいっ!!



「う〜ん、映画もゲームも今、気分じゃないんだよね〜。」


「あっそ。じゃあ帰れば?」



かわいくない・・・。



「んじゃ、帰るね!」



「えっ!?」



立ち上がると、私の腕を掴むアツ。



「何?離してよ?」


「まだ・・・来たばっかだろ。」



目を合わせないのは照れてるのかな?



さぁ〜言ってみて?

帰らないで?ってさ


「アツ、眠そうだから帰るね?」


「別に眠くねーし。・・・・・・帰んなよ。」



言った!!


やった〜!!



今日は私の勝ち〜!!




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